ダイオードのみずうみ
詩集ただよう
そこいら中のダクトがすすけてしまって、工事の音はやみはしない。
鏡台で終わることのない厚化粧を終えたあと、今夜もみな、床についた。
ラウンジで高価な時計をちらちらと気にしてやり過ごす女の耳には、建前ばかりが気に障り、おれは、とても感動的な気分に終えらせられないほどの鬱屈に、もう何年も襲われてしまっている。
おれはもう忘れている。
今、便所の鏡に撥ね返る新型発光ダイオードに当てられて、フロアーからの音を聴いていた。騒がしく、外人たちが喜んでいた。工事現場のポールに囲まれたビルで取り行われたレセプションにスニーカーの少年たちが鉢合わせていた。そして、逃げていったのを見た。恐らく一人は捕まるのだろう。