さ。く。ら。
夏嶋 真子




さ。く。ら。ち。る。ち。る。
さ。く。ら。ち。る。

文字は花びら、桜散る。

て。ん。て。ん。て。ん。て。ん。
転々と渡り暮らした町々の
別れの記憶に桜散る。


この町の桜とも今年でお別れ。
もうすぐ10回目のお引越し。

からだを心配してくれるパン屋のおばさん

公園でハトにえさをあげるおじいちゃん

挨拶してくれる高校生

いつも同じ電車のサラリーマン

隣の家の三毛猫

向かいの家の柴犬

電柱やポストにだって
何もかも、何もかもに、表情が浮かぶ


桜の森に日がすいこまれていくお気に入りの窓辺
夕焼け。
何よりも好きな夕焼け
もうすぐ会えなくなる。


さ。び。し。い。
血のかようこの下町を
桜の中に住まわせる。


さ。く。ら。ふ。る。ふ。る。
さ。く。ら。ふ。る。
文字は花びら、桜降る。


さ。よ。う。な。ら。
風が吹いても、
花びら消えずに


わたしの地面に、
桜、咲き続ける。


あ。


    り。
   

   が。

  
  と。


   う。



大好き。


携帯写真+詩 さ。く。ら。 Copyright 夏嶋 真子 2009-03-05 17:15:01
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