2008年10月24日
12Aという真空管は、パワーは小さいけれど素直な良い音ですと、写真の手ほどきを受けた大先輩からなんども聞かされていたので、いつかは12Aを使用したアンプを作ろうと思いながらも、すっかり忘れていた。
玉音放送を聞いた家庭のラジオの殆どが並四型だとしても、戦時中に多く作られたのは1943年度までで、それ以後は物資も乏しくなり、さほど多くないようだ。我が家のは、空襲が酷くなり、警報を知るために親戚から融通して貰ったのだと聞いた。おそらくは開戦前の景気が良かった頃のものだろう。
標準的な並四受信機のの真空管の構成は、57 56 12A 12F である。
古典的な三極真空管の12Aでマグネチックスピーカーを鳴らしたのだと思うとなんだか、贅沢なような気がするが、当時としては一番安い構成だったのだ。
(昭和天皇はダイナミックスピーカー使用の5球スーパーで聞いたそうで、現在のラジオと殆ど同じような音で聞いていたことになる。
参考「玉音放送とラジオ」↓)
http://www.japanradiomuseum.jp/gyokuon.html
いまころになって並四の中で12Aにお目に掛かるとは、やはり因縁があるのかもしれない。
57 56 12A 12Fの構成は、費用の点で諦めて、6AU6 6Z-DH3A 6Z-P1(3極管接続) 12Fの構成にする。 57とほぼ同様な特性の6AU6はMT管なので、現在でも簡単に入手できるし、現に1本所有している。56とほぼ同じ特性のMT管には6C4があるが、MT管が2本というのもなんか見た目が貧弱なので、手持ちの6Z−DH3Aにする。特性としては増幅率が数倍大きいが、音質にはさほど影響はないだろう。
12Aは高価なので五極管の6Z−P1を3極管接続にする。特性がほぼ12Aと同じになるのが面白い。MT管の6C4も大体同じ特性なのだが、やはりMT管では見た目がなにか貧弱な感じがする。
このように性能よりも見た目を優先するのは、邪道のような気もするが、音には心理的な側面もあるので、これで良しとする。(ほんものの12Aが手に入れられればそれに越したことはないが。)
引用 典型的な並四受信機の回路図↓
http://www31.ocn.ne.jp/~radiokobo/nami4/nanaola.html
写真はイメージであるが、こんな感じになる。