試作品「現代(超仮題)」
詩集ただよう
日本中の心象風景を見ようとしていた若い頃、優しいクラブミュージックが新しく聞こえていた頃、少ない人数の先端にいた頃、真面目なフリーターが増えすぎた頃、グローバリズムに活路を見出せる気がしていた頃、ヒップホップが幅を利かせて通り過ぎていった頃、テレビ番組が通信販売が芥川賞がメガホンを取れなくなった頃、不動産が製造業が輸入代行が慌てふためき出した頃、潰せなくなった法律に皹が入りだした頃、サイケは今でもどっかしらに具有していて、パンクも時折垣間見え、ヒッピーはコンビニでも会えて、とにかくもう、全てのことが同率で、衣料品にしたってそう、これじゃあジャパカジだよって、新しいねって、常にいいこととは限らないのに、そればっか、口ばっか増えて誰の言葉も聞こえないような、なんか、思うけど、マジシャンぶるのはやめようぜ、文学だってさ、昔みたいに作者紹介欄いらないぐらい、スピードを持って流れてる、一文字一文字の真裏に住んでる、この偏見っていう字の変換作業に新しい価値、文学だよおっさん、どうせ団塊だろ、三十代かな、鬱憤つうの、ほら、言うじゃん、フラストレーション、抑え込まれた、さあどうしよう、ほらおれ、新しさ求められているから、よく考えないとさ、発言力が欲しいから、何をするかわからないよ。