蛍光ペンで白地図に線を引く
アオゾラ誤爆

日比谷線のホームに
きみと立つのは初めて
一人で会いにきたよって言って
褒めて欲しかったんだよ
大好きだから名前を呼ばない
そんないじわるだって流して欲しかったんだよ

流線型の街が私ときみを置いてく
いつのまにか風船みたいに膨れ上がった
かなしいかたちのきみが私の前で
笑っているような気がした
なんて怖いんだろう
この世界で私の視力は
まるであてにならないので


手をとりあって
くすぐりあって
きみを縛って動けなくして
でもやることは一緒
これからもずっと
きっと


あっという間にぬるくなる
一緒に浸かっているこの舟には
懐かしい感覚すらあるから
きみが生まれる前にいた場所に
案内されたみたいだ
それは冗談
きみは永遠にその顔のまま
それは可愛いけど
だけど

もう春かもしれないと
微笑みあった視線の前に
整理されたビル
青い空を背景にきみは彫刻になる
まるでにせものみたいな表情で
私の心臓を奪っていく
なんて無益な会話を繰り返しただろう
弁当箱ひっくり返したみたいな思想
そういうのを抱きしめている

新幹線に乗るのはいつも夏か冬
いけすかないきみの仕草を
思い出しては泣いているよ
ねえ
今日の
帰り道はいつもより早く
夜になっていく気がしたけれど
一生秘密にしとくね


自由詩 蛍光ペンで白地図に線を引く Copyright アオゾラ誤爆 2009-02-19 21:22:29
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