春を迎えるにあたって / 西尾
西尾


  北国の街でも
  季節という名の急行列車は定刻どおりにやってきて
  開いた扉に ベルが鳴って
  早く行きましょうと 待っている
  すべてを捨てて飛び込むことができた昔とは
  何かが違う
  乗らないのですかと いぶかる扉の前で
  迷っている 冬の日ざし
  捨ててゆくもの
  抱えてゆくもの
  何も決まらないまま
  また今年も乗りこもうとしている


自由詩 春を迎えるにあたって / 西尾 Copyright 西尾 2009-02-03 18:36:47
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