でんごん
石原大介

でんごんくんがいた。「お金は余裕を持って置いておくがいいよ」。それは小さなオハジキだった。いろんな光と色が街灯にはねかえって、あしたの花火へいけないって思い出した。どうやってきみに伝えよう、でんごんくんだったら…?
台風? こんな月夜に夢みたいなこと言うな。もうおなかがいっぱいだよ。指の腹でたばこをざりざりして、ビワの種を庭に埋めますよ。赤土は黒い。すっぱい豚肉の苦い。猫が見ていた。いつだってカチカチ音がするのは、ぼくの頭のなかだけなんだろ? 帽子なら暑いし、似合わないし、いらない。
もう寝るよ。


未詩・独白 でんごん Copyright 石原大介 2004-08-13 00:45:06
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