私の詩論 「はじめに」と「第1部 この世の始まりから生命の誕生まで (科学的な世界観の共有)」
ばんざわ くにお
はじめに
人生は短い。そしてその短い人生のなかで詩作に使用できる時間は限られている。
日記がわりに詩を書いている場合は別として、詩を1つの芸術作品として創作している
人はこの限られた時間を有効に使用する必要がある。何故なら詩作に時間を費やして
ある程度の成果が得られなければ、それは無駄に死んだ時間である。
詩作は自分一人の作業であるからそのような時間は誰とも共有できない。
もし、詩作に使用しなければ、その時間を家族との憩いの時間に、或いは恋人、友人
との時間に有効に使用することが出来たかもしれないのである。
「私の詩論」では詩作上の技術的内容は書かない。私自身はまだすぐれた詩作品を創作
できるレベルに達していない。が、人が書いた詩の良し悪し(あくまでも私の主観の
判断だが)は判定できるので、この判定基準である私の「ポエジー」(私は自分が感じ
るある詩的感覚をこう呼ぶことにする)について説明したいと思う。
「私の詩論」にはゲノム(遺伝子情報)が極めて重要な項目である。それはリチャード
・ドーキンスの『利己的な遺伝子』(THE SELFISH GENE(1976年出版))の理論をもとに
構成している。また、科学的な世界観も重要である。何故なら、たとえば、コペルニクス
の時代に天道説にかわって地動説が認知されたことによってその後の芸術が大きな影響
を受けたことでわかるように科学的な正しい世界観は芸術活動においても重要である
からだ。
このため第1部では科学的な世界観の共有を目的としてこの世、つまり私達が住んでいる
この宇宙の創成と地球の生命(つまりゲノム)の誕生について記述した。
第2部ではポエジーをゲノムとの関係で説明している。
科学的な世界観について興味のない方は第2部から読んでいただいてもわかるように
記述している。
第1部 この世の始まりから生命の誕生まで (科学的な世界観の共有)
現代の科学では宇宙創成の瞬間から銀河系の誕生、恒星、惑星の誕生、そして地球の生命
の誕生までを語ることができる。しかし、私達が現在よりわずか百数十年前に生まれて
いたならば、このような知識を得ることはできなかった。
自分が住んでいる世界(宇宙)がどのようにして生まれたのかという知識は究極の知識と
いえよう。
1.宇宙の創成 【この世は突然、無から瞬時に生まれた】
今から約137億年前にこの宇宙は生まれた。つまり、この世のはじまりである。最新の
科学によると宇宙は無から生まれ、物質はなく、そのときの大きさは10のマイナス34乗
センチメートルという極めて小さな大きさだった。宇宙創成は奇妙な奇跡だ。
2.インフレーション宇宙 【真空のエネルギーによる空間の急膨張】
宇宙誕生の瞬間から10のマイナス44乗秒後にインフレーション現象(空間どうしを
しりぞけあう真空のエネルギーによる空間の急膨張)を起こして一瞬(10のマイナス
34乗秒間)で大きさが10のプラス100乗倍に膨張した。10のプラス100乗倍とは
直径1ミリの砂粒が直径100億光年の大きさに膨らむスケールだ。このときに真空の
エネルギーが膨大な熱エネルギーに転換されてビッグバン宇宙(火の玉宇宙)が
できあがった。
3.ビッグバン宇宙 【物質の誕生】
猛烈な温度のビッグバン初期には現在の宇宙の全物質(と言っても素粒子レベルだが)が
創成された。そして3分後に水素、ヘリウムの元素ができた。宇宙は温度を下げながら
膨張したが、まだ高温だったので、光は他の粒子にじまされて散乱し直進できなかった。
30万年後に温度が3000度Kまで下がると光は散乱されず直進できるようになった。
現在、私達が光(電波も含め)で観測できる宇宙はこの時点からの宇宙である。
4.銀河系宇宙の誕生 【宇宙の大規模構造】
水素、ヘリウムのガスの密度のむらによってガスのかたまりが宇宙のあちこちででき、
ガスのかたまりは密度が高くなるにつれてさらに収縮し、内部で無数の星が作られた。
1つのガスの大きなかたまりの中でいくつもの銀河が集団で形成された。銀河集団
どおしは網の目のようにつながり宇宙の大規模構造を作り出した。
5.私達の銀河系 【天の川銀河】
宇宙には1000億以上の銀河系がある。私達の銀河系(天の川)は渦巻き構造の直径
10万光年2000億の星で構成されている巨大な銀河系である。
この銀河系は120億年前にできた。
6.太陽の誕生
50億年前に天の川銀河のガス(水素、ヘリュウム以外に超新星爆発によって色々な
元素も含んだ)が集まって原始太陽系星雲ができた。その中心部で太陽ができた。
太陽の中心で核融合反応が起き、太陽が輝きだした。
それは宇宙が誕生してから約90億年後だった。
7.地球の誕生
原始太陽系星雲では太陽に収縮されず残ったガスが集まって微惑星がつくられた。
微惑星どおしは衝突と合体を繰り返して46億年前に地球ができあがった。
8.宇宙を支配する暗黒 【圧倒的な暗黒の力】
現在見えている天体は実は全宇宙の質量の4%にすぎない。残り96%は何か
わかっていない。つまり、宇宙の全質量のほとんどは目に見えない暗黒物質、
暗黒エネルギーでできている。宇宙は圧倒的に暗黒が支配している世界なのだ。
9.生物の体と宇宙の関係 【ふるさとは超新星の大爆発】
生物の体を構成する酸素、炭素、カルシウム、鉄などの主要な物質は超新星爆発と
よばれる恒星の最後の大爆発によってのみ宇宙空間にばらまかれる。だから、私たちの
体の物質ははるか昔(太陽系ができる前)のどこかの超新星の大爆発でできた物質
である。つまり、私たちは超新星の大爆発のかけらからできている宇宙の子供と
いうことができる。太古のふるさとは超新星の大爆発なのだ。
10.地球の生命の誕生 【海で生命は生まれた】
40億年前に海で生命が誕生した。生命はRNA(リボ核酸)からはじまったという説
とたんぱく質からはじまったという説がある。どちらの説もある時点でRNAと
たんぱく質の両方を利用する段階に移行したと説明する。
11.DNAワールド 【進化する生命】
やがてRNAより化学的に安定なDNAを遺伝子情報とする生命に進化した。
これが私達生命の祖先である。
以上
参考文献
宇宙・無からの誕生 ニュートンプレス
「生命」とは何か いかに進化してきたのか ニュートンプレス