終わらないオセロ
猫道

路地にホクロが出来て、増えて、

ホクロだらけになったアスファルトは

最早ねずみ色でなくって、虚実反転する。

白黒はっきりする。

下水が注ぎこむと流れになって、止まらなくって、

人死にが出るという。

蒸発しないくらい泣くも溺れず、生きているのが私だが、

下水を飲むのは耐え切れないよ。




世界中のマンホールというマンホールを線で結んで、

できた網が私です。

ひっかかるザリガニや長靴を友達にして、

泣いては乾き、乾いては泣き、

天に向かってつばを吐き、

吐き吐き、ハキハキ喋くり、

身体中のホクロというホクロを

埋める。 ふさぐ。 つまはじく。

埋める。 ふさぐ。 つまはじく。




誰かがはじいたホクロが、はじくホクロがはじくホクロ。

マンホールは、そういった、おはじきの、名残です。

南野陽子みたく角とったオセロ。 残る。

椎名林檎みたくはじかれたオセロ。 消える。

こうして、知らず知らずのうちに、見えないところで、

マンホールは移動しています。 増えています。




泣きボクロが 少しでも消えますように。

雨の日の下水道で 人死にがなくなりますように。




路地にホクロが出来て、増えて、

ホクロだらけになったアスファルトは

最早ねずみ色でなくって、虚実反転する。

白黒はっきりする。

下水が注ぎこむと流れになって、止まらなくって、

人死にが出るという。

蒸発しないくらい泣くも溺れず、生きているのが私だが、

下水を飲むのは耐え切れないよ。

耐え切れない。


自由詩 終わらないオセロ Copyright 猫道 2008-10-29 17:12:13
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