無声
ゆうと


あのこの首がもげたときに
ぼくは
なんていったらいいかわからなかった
あのこに向けての言葉どころか
ぼくの気持ちすらわからなかったし
その状況すら 飲み込めなかった

あのこの首がもげたときに
ぼくは
なんていったらいいかわからなかった
形容詞ばかりをさがしていて
それはなるべくうつくしいもので ふさわしいもの
ぼくは
そんなふうに考えてしまっていたので
言葉はどんどん消えてゆき
感情だけが沈殿していった

伝えたいこと あったのに
伝えられなくなってしまって
いつの日かしゃべれなくなってしまうような気がする
そう 心の中でつぶやいた 次の瞬間
ぼくは
このときのことが夢に出てくるように思った


ほんとうに夢に出てきたら
どうしよう
これは現実なのに

(( 無声 ))


あのこの首がもげた
あのこの首がもげてしまった
あのこの首がもげてしまったので
あのこの首がもげてしまったのでした




自由詩 無声 Copyright ゆうと 2008-10-26 02:44:17
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