焼鳥屋
あおば

                 081025





くつしたが
くつしたがくつしたがと
悲鳴を上げるので
靴下がと
穴の開いた靴下が
靴の中で欠伸する

石ころを蹴っ飛ばしても
警備員が駆けつける時代には
靴下を履かないものは
土人扱いされるのだと
土人の息子達は
声にならない声を潜めて
欠伸をする暇もなく
靴下を酷使する

欠伸をしている
僕たちの靴の中は
少しばかり窮屈で
自由民権運動の
準備体操をする余裕もないくらいだ
ボートピープルって
日曜日のボート乗り場で
列を作っている人たちのことだと
信じているので
靴下が
くつしたがくつしたがと
どんなに悲鳴を上げても
洗濯機が壊れない限り
気にしないで生きている

靴下が
靴下が靴下がと
財布の底に
声なき声を録音したカードをなんまいもなんまいもぐちゃぐちゃな解きほぐせない見えない糸で縫いつけて
穴を塞いだ靴下を履き直し
焼鳥屋の前を
元気良く歩いて行く


自由詩 焼鳥屋 Copyright あおば 2008-10-25 13:11:35縦
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