刹那
本木はじめ

一滴の水の中へと
沈殿してゆくひと夏の青空が
無呼吸で深遠へと降りてゆくので
圧迫された半円の夏空その低空ばかり
飛び回る鴉たち
重たく旋回しては羽を乱散させ
またしても映り込む水の中
閉じ込められる飛行は抑制され
しばらく冷えた土に惰眠
蝉の鳴き声に気づけば
既に雲と成ってはるか下方の
鴉たちに懐しさを抱いている


自由詩 刹那 Copyright 本木はじめ 2004-08-02 13:05:23
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