カーテンコールに
霜天

街外れで
唸りだす自動販売機の理由を
僕は知らない
全てに理由があると仮定して
その唸りの意味を
誰も知らない

振り向いてしまう癖は
いつかの草笛のせいで
僅かな違いを聞き分けること
教えてくれたその手を
君は知らないでしょうか

聞き逃し
見逃して
ここにいる僕等ですから
その場所に立ってようやくわかることを
噛み締めています
全てに理由があると仮定して
僕は何も知りません


まだ
遠い物語のようです


ゆっくりと、うなだれて
いつだって止まってしまうのですが
波が高いと、風が強いせいにして
振り返ってしまいます
カーテンコールは響きません

聞き逃し
見逃して
ここにきてしまった僕等ですから
草笛の違いを
教えてくれたその手を
待ち焦がれてしまうのです
響かないカーテンコールに



望みながら
どこかで諦めて
街外れで唸りだす自動販売機の理由を
僕はまだ、理解できないのです


自由詩 カーテンコールに Copyright 霜天 2004-08-01 17:37:55
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