斜路
あおば

                  081007



美幌峠から見た屈斜路湖は
とても美しく
バスの窓からは早くも紅葉が輝いて
秋の実りの後の癒しの時を迎え
乗客達は
道外から来たのにもかかわらず
素直に少し感覚的に早い秋を楽しんでいた
クッシーが迎えてくれると信じているミサヨちゃんも
そのご両親も初めて訪れたのが
信じられなくて
生まれ故郷に向かうような気がしているのが
当たり前のような気がして
ならないのです。

ロコの畔が迎えてくれたので
湖の畔で記念写真を撮る
先住民族の血が混じっているという彼は
少し目が大きくて声が大きい
言いたいことをなんでも口に出すので
厚かましい人と思われているが
本当は少し気が小さくて
遠慮深いのだけれども
声を掛けなければ
東京の人には
意味が通じないだろうと
今日も声を張り上げる
なだらかな岡を登ると
彼の住まいがひっそりとしていて
ピカピカ光る太陽電池だけがやけに
目新しくて
屋根の上から雨粒がくるくる回りながら
滑り落ちてくるのが目に見えるようで
見ていたら可笑しくなって
笑いたくなるのを
一所懸命我慢した
我慢することはないのだが
人前で笑ったりすると
邪推されたりする
街中の習慣に従ったままの自分の
中途半端な笑顔が
ゆっくりと崩れていき
湖の底に向かって沈んでいくような気がした。



自由詩 斜路 Copyright あおば 2008-10-10 23:26:27
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