レイモン
たかぼ


僕たちは何て変わった生き物なのだろう
そうだ長い長い筒に入ったうなぎなんだ



レイモン
君は母娘と歩いていた
音のない風がうなじに触れると
何故だか急に口笛を吹きたくなった
何故だか急にだいだい色のやかんが飛んじゃったりして

夢だと分かるんだ

レイモン
まあゆっくり座って
ブラジャーでも眺めていたまえ

ピンセットでインセクトつまんで
えーっとそれから何だっけ



ほら風が吹いているよ音もなく
こうして目をつぶっていると
気持ちがいいじゃないか
でもいつも偏西風なんだよね



いずれにせ

言いたいことだけは言っておく

最も単調な事実の中にさえ偉大な空想は飛躍するが
偉大な空想の中には最も単調な事実さえ存在しない


いーよ いーよ もーいーよ
いーよ 言ーよ 最ー偉ーよ

それと
君のマルトに対するやり方は
あれだな
つまりそのぅ
塵だ

ちりも積もれば関の山
ちょっと違ったかな
まあいいや



ほらごらん
きみはこの劇の主人公
しかも脚本家
だけどきみは脚本の中身を思い出せない
その時が来るまではね



さてレイモン
君は父娘と歩いていた
音のない風が陽炎をくゆらすと
何故だか急にせんべいを食べたくなった
何故だか急に草加煎餅を食べたくなったんだ




自由詩 レイモン Copyright たかぼ 2004-07-31 23:50:36
notebook Home 戻る