着彩/林檎
yaka

白を描くための黒 何百色の黒
透明を描くための濁り 変幻自在の濁り


 林檎がひとつ

 赤い林檎を描くために
 赤が要る、それから黒、白、緑、黄、きりがない、

 球体に映りこむ景色
 柱時計、珈琲カップ、窓ガラス、蛍光灯の乱反射、

 影は案外虹色


林檎がひとつ
テーブルの上
テーブルは窓の傍
カーテンから流れ込む
窓の外は夜、昼、喧騒、


小さな宇宙を映して、そこに在る林檎


自由詩 着彩/林檎 Copyright yaka 2008-10-07 19:25:36縦
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