蛇口
石畑由紀子
ひねったら水が出ます ひかっています で? 好き、に理由なんてないよ
踊り場の全員うえを向いている スカートの嬌声がひびく、午後
うす目あけて口をあけてぎゅっとにぎってゴムふうせんの破裂するを待つ
「故障中」貼り紙がはためいている 嗚呼 どんなふうにされたんだろう
あふれだす針喉になだれたすべて望み望まれたことの延長
銀色は私の体温まで上がり そしてゆっくり冷たくなった
浴びたなら凍えるような水を なぜ人は飲めるのでしょうね、蛇口
短歌
蛇口
Copyright
石畑由紀子
2008-09-30 01:22:02