河口(習作
あおば

           080923


ガジュマロの気根
声を出して笑うが
踏み台に乗って
メヒルギの枝によじ登る
河の流れに落ちる音がして
耳の穴が砂まみれになる
空中回転をマスターして
足から落ちる達人達は
河口に陣地を築き
魚の鱗を飾り立てて
羽根飾りの代用とする
空を飛ぶ鳥でさえ
物欲しそうな夕暮れ時に
草食性の蝙蝠を捕らえ
猛魚の餌にするつもりだ
羽ばたいて逃げろ!
声なき民が祈りを捧げる
声なき民が絶望の狼煙を上げる
ゆっくりと上がってゆくそれは
風の谷間に沿って南東に拡がり
海へと辿る
星の瞬きを遮って時刻の目覚めを
少しだけでも遅らせるつもりなのだ



自由詩 河口(習作 Copyright あおば 2008-09-23 16:00:02
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