赤いひと
詩集ただよう
何度決意しただろう。夕焼けがビルの翳を伸ばすのを見ては決意し、朝焼けが足元の塵を照らすのを見ては決意した。
腐る卵の臭いを嗅ぎ、内臓を脳裏に思い描くような。
タフネスとはいえぬ足取り。
若くして得る筈もない原子爆弾を顔面に喰らい仰せては、若くして得る筈のレイザーライトを暴発させる。
無重力の矛盾にけつまずく。
尋常であり続ける為の普遍的な笑み、自ら崖に墜ちた仔ライオンの親はあの岩肌だという。
餌を喰い契り、犬歯から垂れる赤い肉汁を袖で拭く。
共には行けぬ。
せめてぎらぎらとしたその眼裏に、何も映すなと笑え。