足跡
皆月 零胤

ふたりで
ずいぶん夏を歩いてきたね

波打ち際を振り返ってみると
たくさんの足跡が打ち上げられていて
見えないところまで続いている
きっと想い出になる時がきたら
一斉に海に帰ってゆくんだろうね

 あっという間の夕焼けの中を
 飛行船が飛んでゆく
 予想以上に速いスピードで
 違う色で塗りつぶされる前の空を
 夜をすり抜けて空の向こうへ消えてゆく

足跡はまだ動けないまま
ただ潮騒を待っているだけ
風に吹かれながら
どこか遠くの海のことを考えている


自由詩 足跡 Copyright 皆月 零胤 2008-09-17 19:39:02
notebook Home 戻る  過去 未来