立番
草野大悟

交差点に立ちながら考えた

なぜ俺はここにいるのだろう
紺色の制服の中のそのまた中は
少しも変わっていないのに

化石となって考えた
風がひゅーひゅーなっていた
女子高生が華やかに通り過ぎた

つまり こうだ

いつだって仕事はナイフで
中の中を削り取るのだ
削られ削られして
外形だけが張り子となるのだ

やはり そうだ

見えないナタは
かたときも休まず
やせ細った人を切断するのだ
そこには蝶の入り込む余地など無いのだ

そして こうだ

叶えられない多くの想いが渦巻いて
オートバイは鳥になるのだ



夕暮れの立番に
俺の魚たちが泳いでゆく


自由詩 立番 Copyright 草野大悟 2004-07-26 22:43:50
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