砂漠の砂に注ぐ水
皆月 零胤

青信号の点滅
ギリギリで間に合わない
そんなことは
わかっていた

でも、
君と一緒なら構わない
そう思った

絶望的な結末
それでも今は構わない
君と一緒なら、たとえ
赤信号でも. . .


    *


砂漠の砂

水を注ぐように

あなたに
愛を注ぐ

あなたの心

海になるまで


    *


あなたの心までの
あと一秒が
どうしても
追いつかない

その一秒が
足りないせいで
永遠、まで届かない


    *
  (午前零時の憂鬱)

辿り着くべき場所さえ
見失いそうになるほど
広い、この街で

高く、建ち並ぶビルは
夜は信じられないほど綺麗だけど
遠く、手に届かないところにある

空に浮かんだ月は
あなたと同じ
あと何時間もしないうち、きっと
いなくなってしまう

何もかもが
遠く感じる孤独さえ
まるでなかったかのように
あなたに微笑みながら
とりあえず、こう聞いてみるんだ
明日も晴れるかな?
って

でも
本当に言いたかった言葉は、きっと
あなたから一番遠いところにある


    *


ただ
明日も、同じように逢いたい


    *


砂漠の砂に注いだ水は
流れることなく
乾いてしまう

ただ、時間ばかりが
流れる
まるで水のように


    *
  (デッサン)

あなたの姿は
結局、
この枠の中から
はみ出してしまい
描ききれない

その色さえも
掴みきれない


    *
  (夕立のように)

通り過ぎてゆくと
わかっていた

あなたは
特別でした

でも
それは
このまま
秘密にしておこう

あなたが
特別でなくなってしまわぬように


    *
  (陽炎のように)

ふとしたときに
あの人を
思い出してしまうのは

何故だろう?


    *


忘れたい
忘れない
忘れよう
忘れられない

今は、まだ
忘れられない

あの人. . .


自由詩 砂漠の砂に注ぐ水 Copyright 皆月 零胤 2008-09-07 00:00:04
notebook Home 戻る  過去 未来