壊れてゆく世界の中で モノクロームの夢を見る
皆月 零胤

      絶望的な希望の唄を この世の果てで口ずさむ


崩れかかった廃墟に囲まれ 頭の中で鳴るメロディー
今にも消えてしまいそう

虚ろな偽の灰色の瞳は 透明さを無くしたガラス
自分の姿も映さないんだ

このまま眠れず夜を過ごし やがて昇る朝日に焼かれ
きっと灰になるんだね

真冬の冷たい北風に 跡形もなく吹き飛ばされて
壊れかかった世界の中から この存在を消しておくれ

ここから僕が出られるように 決して泣かないことにしていた
頬をつたう涙は赤く モノクロームの世界を壊して
閉じ込められてしまうから


  この世界が壊れてしまう前に ここから出ようと決めたんだ
  こことは違った世界を見たい 明るい未来に行けたらいい


そう祈りながらも僕は 冷めきった情熱の破片を胸に抱いて
瞳を閉じて静かに眠りについても 今夜もまた
絶望的な希望の唄を この世の果てで口ずさむのだろう
 
疲れ果てたこころとからだは
もう明日の望みさえも失くしてしまっている
だからもう 今夜は泣きながら眠りにつこう


そして今夜 絶望的な希望の唄を この世の果てで口ずさみながら


      壊れてゆく世界の中で モノクロームの夢を見る


自由詩 壊れてゆく世界の中で モノクロームの夢を見る Copyright 皆月 零胤 2008-08-30 00:17:29
notebook Home 戻る  過去 未来