翼をつくる
皆月 零胤

翼をつくる 明日のために
でもつい大きすぎるものにしてしまうから
空は飛べない
仕方ないのでそれをつけて歩いてみるが
人から笑われる

財布を開く 生活のために
ヒラヒラはすぐ羽を伸ばして飛んでいってしまい
ジャラジャラになって帰って来たと思ったら
そいつらもいつの間にかいなくなってしまう

世界は遠すぎても近すぎても見えない


誰にだって予定の時間というものがある
そんなことばかりしていたから
到底間に合いそうにはなかったが
歩いてゆくことにする
乗り物ではいけない場所だからだ

でも地に足がついていないせいか
風のようには上手くいかない
途中で出会った人たちが心配して言葉をくれる
するとそれだけ優しい気持ちになれる

今いる場所が何処なのかはわからないけど
ポケットの中で小さな虹色が育ってゆくのはわかる
大きくなったら誰かに分けてあげたいと思う
他の人が僕にそうしてくれたみたいに

最初から翼なんか要らなかった


自由詩 翼をつくる Copyright 皆月 零胤 2008-08-25 20:30:47
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