柵と距離
水町綜助

やるせないとは

どんな気持ちだ

胸の高さまでの柵から

少し乗り出して

空を仰いでいるのか


柵の欄干あたりで

透明度の高い水が

溢れそうに張りつめながら

柔らかく震えている


水は海水か
塩を含んでいるんだ

だから飲んでも

かわくだろうよ

全く涙ではないよ

赤く焼けるさなか
ひとつの推進力が

翼をもっている

銀の

それは人色の手では

掴みきれない人間の

ひとつの意志だ


他人事に

世界は丸く広がり

丸く終わりを持たない

青い

空は白く

かたちを持たず

指のかたちにそぐわない

ごうごうと

音の響きで計られていく

ごうごう
ごうごうと


自由詩 柵と距離 Copyright 水町綜助 2008-08-06 23:09:40
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