水のための夜
モリマサ公

砂を
体中の空いてる
穴に詰めていく
埋め立てた人工の砂浜の
ほつれたぬいぐるみが
さみしそうに息をしている
「あなたのコドモを産むよ」
と笑い
雨上がりの
草いきれで肺一杯にして
めくらの猫がちいさくないて
凪いだくらい東京湾岸に
需要と供給としてコンテナーがつみあがり
粉みじんの自分自身が水たまりにばらばらに浮かび
くろいアスファルトが燃えてゆらぐ
ビニール傘がひっそりと折れ
ピンぼけの子供の群れや歯茎のいろとりどりが
飛び立っていく
喉という喉が金属質にひとつづつ乾き
ヘリが旋回する空にはキズひとつなく
影がものすごく深く
咲き乱れてる




自由詩 水のための夜 Copyright モリマサ公 2008-08-05 20:20:11
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