ミニーマウス・レター
青木龍一郎

僕は夢の国に住んでいる
愉快な友達だってたくさんいた
肌の色の病気の熊
言語障害のアヒル
狂犬

僕は笑い続けた 血を吐くまで笑い続けた
僕は踊り続けた 気が狂うまで踊り続けた

僕のガールフレンドは最後にこう言った

「ミッキー、私は明日からブラジルの工場で働くことになったの
 ミッキー、私はあなたと踊れなくなってしまったの
 ミッキー、子供たちの笑顔が嫌いだった
 ミッキー、子供たちの目から血が流れるのをあなたは見た?
 ミッキー、塗りすぎた赤ペンキのよう
 ミッキー、子供を殴り親を蹴り老人を殺し赤ん坊を食べる
 ミッキー、入国者は性別問わず強淫した
 ミッキー、ディズニーランドで麻薬を売りましょう
 ミッキー、笑って
 ミッキー、ミッキー、ミッキー、ミッキー、ミッキー、助けてミッキー

 ミッキー、わざとらしい仕草で投げキッスした
 ミッキー、夢に耐えて
 ミッキー、この国で私達は盲目だった 杖を突いて笑ってた
 ミッキー、愉快な音楽はあなたの大きな耳でも聴こえないわ
 ミッキー、トイストーリーのメンバーはパレードをサボって、おっぱいパブで発見された
 ミッキー、今日ビッグサンダーマウンテンがクラッシュして14人死んだ
 ミッキー、黄色の風が肌を撫で回して 私達は『見えない』と言った
 ミッキー、今 あなたに投げキッスを返すわ
 ミッキー、もう これからあなたとおどりをおどれない
 ミッキー、死ねミッキー
 ミッキー、蛆に喰われろミッキー、愛してるミッキー」


グーフィーはミニーの手紙を僕の前で燃やした
グーフィーは笑いながら入国者を強淫した
僕が彼を包丁でめった刺しにしたとき、彼は最後にこう言った

「夢の国じゃけえの… 夢の国じゃけえの…
 わしはウォルトディズニーを憎んどるけえ…
 歌うのはの…歌うのはの…もうたくさんやと思うたのじゃ…」

グーフィーはスプリンクラーくらいの勢いで血を吐きだした

夢の国じゃけえの… 夢の国じゃけえの…

夢の国じゃけえ 先日ミッキーマウスそっくりの死神が僕に挨拶してきた
夢の国じゃけえ 女子中学生にアメあげたら「ミッキーミッキー」と着いてきた
夢の国じゃけえ ドナルドダックがピーターパンのアトラクションに乗ろうとしたが、速攻で乗り物から転落して、大爆笑した

何が夢の国だ!
僕は未だにおねしょが止まらねえ!

ミッキーね あのね 願望あんの あのね ジョナサン行ってみたい!
そんでね すっげー一杯頼んで 一口も手つけないの!
オムライスとか10人前くらい頼んじゃったりしてさ!
店員に「ケチャップでLOVEって書いてもらえますか?」なんつってね!

パレードというより練り歩きしようぜ
あと喫煙所とか一杯設置しようよ もっと
ウエスタンリバー鉄道の線路の上で寝たいよね
音立ててガム噛みてーよ
正直子供達に「馴れ馴れしい」って言いたい
ポケットに手入れながら そこらじゅう蹴飛ばして歩きたいよ
毒霧も吹きたい




こうしてミニーは居なくなり、グーフィーもくたばった
全アトラクションは構わず動き続ける
あいかわらず子供達は糞のような笑顔を撒き散らす
僕はミッキーマウスだ
歌うし踊る
踊るし歌う
たとえ 血まみれでも



ハハッ、僕ミッキー★みんな元気ぃ?


自由詩 ミニーマウス・レター Copyright 青木龍一郎 2008-07-27 15:54:13
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