学歴コンプレックス
つぐこ

 クビを吊りたいくらい不安。
将来とか、学力とか、
ひとつもつかめない、
不安で押しつぶされそう。

三者面談をやった。
それからちょっとおかしくなった、
それで、今に至る、
おかしいってどころじゃないかも。

国語の補講はサボった。
それで、ちょっと考えてみた、
あたしは高望みしているのではないかと、
ちょっとでも、あの習字の先生と商業をバカにしたやつにあたしを認めさせるためではないかと。

ちょっとレベルを落としてみようかと思った。
でも、プライドが許さない、
周りはみんな携帯いじり、成績がいいからたちが悪い、
まじめがなんだ、AOがなんだ、推薦がなんだ、センターがなんだ。

この頃、まじめにやっていて馬鹿馬鹿しくなった。
一応、奨学金の一種には受かった、無利子のやつ、うちの家庭を考えれば当たり前か、
推薦を有利にするために頑張ってきたつもりだけど、
中学のときみたいに上には上がいる、
あたしはやっぱり、上には上がいるけど、どうすることもできない口だけのタイプなんだなと実感した。

一生懸命にやってきたけど、結果がついてこない。
いつだってそうだ、ケアレスミスで何点か落としてしまう、
結果しか他の人は見ない、あたしは万人に認められたいだけなんだと思った、
名前だけで大学を決めたり、偏差値とかレベルとか学歴社会とか気にしたり、
ブルーハーツを聴いてはいられない。

七月にある人があたしに言った。
周りの環境のせいにして、全てをお釈迦にするのはいけない、と、
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、
あたしは周りに流されてしまいそうです、
受けたい大学があっても、無理としか言われないです、
そうだって納得してしまいます、でも、心のどこかではこれまで自分の成績とかがもわもわと浮かび上がって、最終的には納得できなくなってしまいます、
もっと、成績や素行が悪かったら、こんなに悩みません、
今日、楽な方に行こうと思いました、
専門学校とフリーターがいいなって思いました、
みんなには大学に行ったほうがいいって言われるけど、
あたしのいきたい大学は名前だけの大学なんだろうかとか、自分が何をしたいのだろうかとか、将来それで食べていけるかとか考えると、
あたしのやりたいことじゃなくて、事務的な学部になってしまいます、
文学部とか行きたいけど、就職率が悪いし、公務員にはなりたくないので、経済学部にします、
今、経済学部も諦めている状態です。

塾に行ったら、あたしより偏差値の低い高校の人がいて、その人は某有名私立高校を受けたけど、落ちて、仕方なくそこに行っているらしい。
その人はできるのよ、と塾長は言う、まわりのみんなのことを褒めるけど、あたしは褒められないし、バカなんだなって実感する、できないから塾に行くけど、学校みたいな差別とかはないけど、その人は医者の息子だから、格差はあるよね、家庭の。
夏期講習やらの申し込みをしていたけど、あたしにはお金が無いし、塾長に安全圏の大学しかオススメされないし、妙に説得力があるからそれに流されてしまいそうで怖い、
だから、夏期講習は受けないことにした。

親にはお金はなんとかしてあげるからって言われたけど、もういいよ、と言った。
実は、引き止めてほしかったけど、事務的な答えしかなかった、
就職は女子は非常に厳しいし、今頃就職には変えられない、それは重々分かっていた、
しかも、三者面談が終わった時期にこんなことを言うのは考えられないだろうなと思う。

あたしの受けたい大学は、有名なトコで偏差値も高い。
簿記で試験が受けられて、国語と英語だけのとこだ、
簿記はいいとして、国語は古文と漢文を全然やっていない、
それは、国語の先生に相談をして少しずつ教えてもらっている。

しかし、問題は英語である。
あたしは、塾でも英語をやっているのだが、あんまりにも難しくて分からない、
単語も覚えられない、昨日食べた夕飯でさえ忘れてしまう、
そんなあたしに、できるよなんていう奴がどこにいるのだろうか。

バカだ。
あたしはバカだ、
たぶん、そこを受けるって言ったら、いくら担任でも怒るだろう、
それであたしが折れて、一生学歴コンプレックスと向き合うだろう。

ある人はまた言った。
絶対受けろと、
あたしがそこまで暗記力がないということは知らない、
一応、頭がいいように見られるらしいから。

そのギャップに悩んでいるんだけどね。
誰か、あたしのことバカって言ってよ、
お願いだからさ、
バカって言ってよ。

あたしのプライドとか自尊心の重さなんて、重そうで軽いんだよ。
ふうって口で吹いたら、どこかに飛んで行ってしまうんだよ、
コンタクトみたいに探すのが大変なんだよ、
それを拒んでいる自分がいるんだよ、そんな自分をいなくして、もっと軽くなりたい。

尊厳死みたいな感じだよね。
意味合いっていうか、雰囲気的なもの、
ある人は、来年の今頃には分かるって言ってたけど、
その意味がわからなかったら、絶対にあたし、あなたを憎む。

もう、なんでもいいや。
何をしたってちゃんとしようとしても一つどこか抜けている、
自分に自身がないって言われても、あたしの能力がそれなんだもん、
あたしの人生、ケアレスミスだもん。

明日は、担任に行くしかないか。
親には何をふらふらしているのってしか怒られないから、
あたしの住んでいるところは日本で二番目にバカだから、実業高校だから、日本全体で考えて馬鹿だから、仕方ないって思っている、
あたしの人生なんて、お釈迦に決まっているって思っている、
可能性を潰すのはダメだっていうけど、
環境がそうさせているじゃないって言いたくなる、そういうと変えなさいって言われる、
この高校に入ったからこうしかダメとかそんな固定概念とか、もう嫌だな、
楽しみな教科とか好きな教科とかないし、
頑張っても上には上がいるし、努力したつもりでも抜けているし、
何を頑張ってもダメな気がしてきた、
いっそのこと、高校やめるか、
人間やめるか。



散文(批評随筆小説等)  学歴コンプレックス Copyright つぐこ 2008-07-24 23:57:57
notebook Home 戻る