等身大
千波 一也



ありのまま、
あるがままの姿であれと
ひとは口々にいうけれど


 途方もない約束を
 捨てたくなくて
 潰れてみたり

 飾りのつもりが
 汚れてみたり

 だれかが痛まず済むように
 代わりに深く
 傷を負ったり

 やさしさの途中で
 うそに染められたり


小さなおのれを脱ぎすてたくて
愚かなおのれを覚悟のうえで
ひたすらつよく
はまる弱さは
ありのまま、とは
呼べないだろうか



 ひとりの力は
 ほんのわずかだ
 それゆえ狭い真実だ

 ならば、
 その檻を打破しようとする
 叫びこそ
 ひとの、
 けものの、
 本質ではなかったか

 夢まぼろしに
 ひれ伏すことなく
 紛れることなく



不器用でいい
不自然でも、いい
変わろうとする流れのそこへ
その身ひとつで
立ち向かえ

等身大の名に挑め






自由詩 等身大 Copyright 千波 一也 2008-07-22 17:34:09
notebook Home 戻る