いらない
yaka

「いらない」と見向きもせずに、あの日も弁当は置き去りだ
  しょうがないのでその人は、昼飯にやるせなさを食べた

「ほうっておいて」と突っぱねて、また綻びが大きくなった
  しょうがないのでその人は、夜中にこっそりそれを縫った

「頼んだわけじゃない」と苛立ちは、さよならも置かず出ていった
  しょうがないのでその人は、毎月欠かさず書留を送った

「いらない」ときみは言った
  見向きもされない弁当だけれど
  欠かしてはいけないことを、その人は知っていた


自由詩 いらない Copyright yaka 2008-07-03 22:05:17縦
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