迷子
北村 守通


むかぁし
学校帰りに
知り合いになった猫が
そのまま家についてきて
とても愛らしい顔した
上品な
そして礼儀正しい
奴だったのだが
家で大目玉食らって
知り合った場所まで送り届けたことがあった



むかぁし
学校帰りに
田んぼの真ん中で
サギっていうんだっけ
白い
でっけぇ鳥が
うずくまっていたのを見つけ
家まで抱きかかえて
連れてゆき
玄関先で
シラス干しをご馳走してやったことがあった
そこに
アニキが帰って来て
腰抜かしてしまった
結局
動物病院連れて行ったら
栄養失調とのことで
動物園に保護してもらうことになって
万々歳となったのだが
恩返しの美女は
未だにやって来ていない
もしかすると
雄だったのかも知れない
あるいは
もしかすると
好みの男ではなかったのかも知れない


そして


つい
先日
就職活動の帰り道
道端で
少女が泣きじゃくっているのを見つけて
声をかけた
名前を聞いても
どうしたのか聞いても
泣きじゃくっているばかりで
話にならない
少し行けば
交番あること思い出し
念のために
少女にも
声をかけ
バイク発進させてみれば
バックミラーに
その姿なく
後ろ確認すれども
やはり
その姿なく
不思議に思いながらも
家に帰れば
洗面台の鏡の中で
やっぱり
泣きじゃくっていた
名前を聞いても
どうしたのか聞いても
やっぱり
泣きじゃくって
泣きじゃくるだけで
話にならない
交番に届けることもできず
手がかりの探し方も解らず
実際
困ってますが
成長してれば
きっと美人に育っていただろうと思われるので
恩返し期待して
日々ない頭を捻ったり
努力を続けています


散文(批評随筆小説等) 迷子 Copyright 北村 守通 2008-06-15 23:44:16
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