ハリウッド
山崎 風雅
ついに政府が動いた!
山崎風雅を国を挙げて救済する!
山崎風雅救済の運動が高まる中、政府与党が時期選挙の危機感を憂慮しての決断だった。
野党第一党の民主党は猛反発。しかし、一部の過激な運動家の報復を恐れた小沢一郎は人道的な配慮は支持するとの声明を、非公式に表明した。
この報道は日本だけで収まらず、海外メディアも取り上げた。国際世論も日本国政府の決定に
騒然とした。特に米国は苛立ちを隠せなかった。報道を聞いたブッシュ大統領は直ちにホワイトハウスで演説を行い、日本のこの愚挙は、自由社会の脅威であり、テロである。我々は断固、闘わなければならない。全米で日本政府への抗議運動が起こった・…
しかし、一番驚いたのは山崎風雅本人であった…。
内閣特使が知らせを伝えるため、京都市内の彼のボロアパートの前の狭い路地にリムジンを停めて、仕立ての利いたスーツを着た異彩を放つ政府要人達が、チャイムを鳴らした頃、山崎風雅はお気に入りのエロ漫画雑誌の一番お気に入りのシーンに釘漬けになっていた。
いよいよ、日頃鍛えた右腕で絶頂の時を迎えようとした時に、チャイムが鳴り、玄関先での異様な気配を感じた!
小心者の風雅は取り乱した。これは十代の時に魔が差して、京極でウラ本を万引きした足がついたんやぁ〜!
いつも、NHK料金の徴収員が来た時にするように、居留守を決め込もうと思った。手にしたリモコンで付いていたテレビを消そうとした時、自分の姿が放映されていることに気付いた。
な?…!
政府の山崎風雅救済特別委員会の設置。それに伴う特別予算が組まれ、有識者の懇談が始まった。委員会は彼の性格、健康状態、趣向、家族構成、社会的境遇、知能指数、思想、その他・・
、国際レベルの専門家による調査が、政府管轄の軽井沢の施設にて連日行われた。
世間知らずの風雅は・・・やっぱり、ウラ本の万引きしたら、こんなことされるんやなぁ。えらいことしてしもた。もう、万引きはせんとこう・・・とりあえず、反省せなあかん。素直に言われる通りにしとこ・・・風雅は事が大き過ぎて事態を飲み込んでなかった・・・
そんなことが半年も過ぎて、専門家による白書が政府に提出された。与党は選挙での切り札に
国民にアピールするため、白書を元に、風雅の性格、趣向、健康状態に最も、適する環境を提供することに余念がなかった。
果たして、政府は彼に適した最高の生活を提供することに成功した!最高の住まい、最高の配偶者、最高の仕事、職場、最高の装飾、最高の料理の毎日・・・・
山崎風雅救済活動家達は、マスコミの取材に連日連夜答え、日本政府の歴史上かつてない、素晴らしい人道的、道徳的、建設的、平和的、理性的、論理的、良心的な成果だと絶賛した。放送を見た国民達は感動して涙を流さぬ者はいなかった。
建国記念日である2月11日、山崎風雅は政府主催の『山崎風雅救済を祝う会』に夫人と共に招かれた。
その席上で山崎風雅が発言を促された際に風雅はこんなことを叫んだ。
ごめんなさい。もう、ウラ本の万引きはしません。反省してます。早く、あの伏見のアパートに帰して下さい!ニンニンに餌をやらないといけないんです!
満場、拍手の渦。至上かつてない最高のジョークと国内のメディアだけでなく、海外、特
にアメリカで取り上げられ、ハリウッド映画への出演依頼がオファーされていると言う。