おもちゃの兵隊
末上シン




こどもの頃

僕はポポという おもちゃの兵隊に優しくキスをした

ポポは照れ臭そうに 真っ赤になって土に潜った


ポポを知ってるのは僕だけ

僕のことを知ってるのもポポだけ


そのうち ポポがいた場所に 誰かが花を見つけた

とても真っ赤な花だった

その人は真っ赤な花を家に持って帰り 花瓶に挿した


ポポとわからなくてもいい

ポポはそこにいればいい

残ってゆくことに意味がある

ポポ


僕はポポを知っている

ポポはいま 僕を知ってるの

知っているの


僕は残ってますか

真っ赤なポポの中に

残ってますか 僕がキスしたポポ ずっと照れ臭そうに


水を注がれても照れ臭そうに、 ずっと赤く、僕の兵隊ずっと、ポポ










自由詩 おもちゃの兵隊 Copyright 末上シン 2008-05-22 14:21:34
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