まっしろな 雲の下
佐々井


手で輪っか、手の輪っかで
望遠鏡を作って見ても、見えるものは悠然とした今日で
やってくるのは漠然とした今日だ

何十年未来の雲は、何処で生まれた雲だろう
僕と同じ日に生まれた雲は、いつ僕の上を、通り過ぎるんだろう

子供が、たたた駆けてくる
ほら、こうして
輪っかを作って、覗いてごらん
どうだい、何が見える

僕が!僕が見えるよ!

そうか、僕が見えたのかい
僕は、元気だったのかな
やっぱり、まだそこにいたんだね

手の輪っか、いびつな丸
いびつな地球
宇宙のかたち
僕の姿、影になって
入道雲に、浮かぶ

生まれたよ
でもね
生きなくてもいいんだ
いいんだって、さ

手の輪っかで、見える世界は
いつものように回る世界だ
それでも少し、近づいたような気がするから
僕は少し、目を回すんだ



だーれだ










未詩・独白 まっしろな 雲の下 Copyright 佐々井 2004-07-08 03:23:07
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