あたしのものではないこどく
因子

寝てる間に熔けて口いっぱいに溢れた金属のようなチョコレートが嚥下しても嚥下してもしきれない
私の前に横たわる地獄とはそういった種類のものなのです




うたをかくのがすきなんです
おはなしになりきれないあたしの
ひとつだけ、
だけどそれも正しくなることなんかない


電車がすきなんです
みんなしらないひとだから
あたしはたしかにここにいるのに
同じところにいないから


すみっこにあたしいるんです


だから到着するのは
本当は苦手なんです


地球がすきなんです
みんなしらないひとだから
あたしはたしかにここにいるのに
地球はぐるぐるまわっているから


すみっこをあたし探すんです


地球がまるくなってしまって
すみっこがみつからないんです





「唯今、」きょうも
ここへ着くけど
到着じゃないんです
まだ、到着じゃないんです





今日もすみっこをあたしさがして
今日もすみっこにあたしいるんです
背中にかべがとてもここちがいいです
到着しないのでいまもまだゆられています
到着がないのであたしわらっているんです


自由詩 あたしのものではないこどく Copyright 因子 2008-04-06 21:37:31縦
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