カニバリズム
あおば

              080404


コレでよい
コレで
ひとかけらの土塊を
脚で踏みつぶす
粉々にしてから
ふるいにかける
乾かしては水を加え
塊にして
叩く
叩く
粘土質の土は
素直に従い
細い紐になった
紐から仕上げた土器の色彩
紅い花だと
少年は思う
人殺しの色だと
老人は呻く
殺された者たちを
煮込む土器の周りでは
生まれたばかりの幼子が
きゃっきゃと声を上げる
秋の夕暮れ
おまえの分は
わたくしが
その代わり
大きく強くなったなら
弓矢を持って狩りにゆき
ねらいを外してはいけないと
重たくなったヒルコを抱いた






初出 「poenique」の「即興ゴルコンダ」


自由詩 カニバリズム Copyright あおば 2008-04-04 06:20:09縦
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