愚の骨頂
因子

君なら或は気付いているかもしれないけれど、この頭蓋のなかには脳なんてカスほども詰まっていないんだ
そんな僕は当然君に出会って
当然離れて
そして脳のない僕はぜんぶの細胞で認識して絶叫した
すべての細胞は目まぐるしく死んで生まれ叫び慟哭し笑い震え死んで生まれ君を追いかけた
僕という集合のすべての叫びがきこえるか?きこえるか?
頭を頭蓋を空にしてよく受けとめなさい!
君の細胞すべてでもって受けとめなさい!


繋ぎ留めておかなくとも君は君の場所から逃れることができない
君は君から逃れることができない
しかし
僕を繋ぎ留めることができるのは
僕の朽ちゆくはやさのみ




そして僕は追い付くだろう
当然追い付くだろう
そして朽ちるだろう、
君の眼球を通過した僕の反射光は君の脳に届くだろう、
留まり続けるだろう、
僕は何も失わない

狡いと言う君を僕は嗤うだろう
初めて僕は笑うだろう
素晴らしき愚の骨頂!


自由詩 愚の骨頂 Copyright 因子 2008-03-21 18:05:10
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