僕らが初めて降り立った あの 大地に
狩心

共感は要らない
それでも君は泣いていた
横たわる誰かの傍で
その誰かの身体が透明になるまで
見守っていたいと

風が身体の中を通り過ぎていく
深々と降り積もる雪
項垂れた肩から滑り落ちる
理解と
孤独の狭間を垣間見ていた

(何も見えない)
それは静かに眠る
赤い目をした野獣の恐怖
煌びやかな謝恩の雨から生まれた恐怖
神経が具現化して飛び跳ねていた記憶

謝礼金はハタハタと舞って
二度目の間違いを
百度目の間違いと訂正した

すれ違っている
右目と
左目の交差点が
愛撫する
腐った臭いを
香しく 香しく
広がったエラ呼吸の窓が
事実を受け入れる
あなたの
感情の前に

一体何を見ているのかこの目は
精神に吸収された女体
その悲劇と
それを愛した男の
亡骸としての風

咳が止まらないように神様に祈った
時計の針が着実に未来を暗示していて欲しいと願った
土のようなチョコレートを
鉄の血の銃口から拝借する
脳内釈明記者会見において
僕らの身体は散り散りのバラバラ殺人事件だ
脳内の
釈明記者会見において
風が通り過ぎる窓は
肺呼吸を放棄したエラ呼吸と酷似している

透明になる身体は
百度の熱病の下で沸騰する
熱くて歩けない床の上で飛び跳ねる足の裏に
忘れられない悲劇の
人々の顔が張り付く

僕らは何度も裁判を繰り返す
共感できる事柄について
または 共感できない事柄について
歩けなくなって横たわった誰かの傍で泣く
その誰かの身体が
(透明になるまで)
(誰かを)
見守っていたいと

崖から飛び降りた時
小さな涙は風と共に去る
あなたの感情は
あの
窓の外に

包まれ 包まれ
風のような肉体
神経を逆撫でするように
神聖な場所を切り刻め

奪ったものを 釈明する為には
放棄しなければならない
自らの未来を
そして
何もない あの 大地に
あなたが 帰還する為に

… 香しく … …… かぐわしく ……
… 包まれ … …… くる ま れ ……


自由詩 僕らが初めて降り立った あの 大地に Copyright 狩心 2008-02-14 20:54:54
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