ミッドナイト・レース
よしおかさくら

月に息吹きかけて
闇を走らせた
自転車を得意気に漕いで
君が笑ってる
雲を引き連れるみたい
王様は君
坂道の巧妙なブレーキで
王座を奪い返して
いつもの曲がり角
直線に出た
『速さのレースなんて飽きたよ』
うそぶいて
フライングに近い
まるまる坂まで走りきれ
君の悔しそうな顔を見るまで

闇に息吹きかけて
霧を作った
自転車止めて
笑ってる
街灯の白い光
番犬の吠える声
ちいさな
十字路


自由詩 ミッドナイト・レース Copyright よしおかさくら 2008-02-08 09:20:56
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