批評祭参加作品■詩投稿サイトについて
2TO


 批評祭ということらしいので参加させていただくことにいたしました。いくつ投稿できるかは分かりませんが、できるだけ書ければと思っています。よろしくお願いいたします。

 さて、これから書き始めるにあたって、私観と一つ提案を述べさせていただきます。といいますのも、現代詩フォーラムに限らず、現時点ほどネットにおける全体的な詩のレベルおよび書き手のレベルが停滞している時は、かつてなかったように思われるからです。


(ところで私は「ネット詩の死」などという言葉を使うつもりはありません。「死」は時間と切り離されたものであり、曲がりなりにも現在ネットにおいて詩が書かれており、また今後も書かれ続ける限り、それは「停滞」と呼ぶべきものでしょうから。)

 数年前までのシーンを思い出すならば、そこには大小数々の自由に詩を投稿できるサイトがありました。いとう氏のサイトover the sinから引き継がれたPoenique(やみなべ。)、また老舗と言ってよい日本WEB詩人会、脳ミソ気球団、うおのめ倶楽部などはまだ続いていますが、一日のアクセス数や投稿数を考慮すれば数年前とさほど変わりはないのではないだろうか(とはいえ、千年王国の惨状は筆舌にしがたいものです)。

 閉鎖してしまったサイトもありました。詩人ギルド、ark、Verse-Verge、Poetic Free、そしてchori氏が創っては廃棄していた投稿サイトの数々(最後に残ったのは「くぐもり」だったでしょうか?)。……これはネットの流動性を考えれば致し方ないものかもしれません。

 その一方で、新たに設けられたサイトもいくつかあります。詩遊会、みんなの詩(ポエム)、poecs、ことばcan。携帯版では投稿詩共和国、そして(自由投稿ではないものの)月刊未詳24。その他にも個人サイトに投稿掲示板を設置しておられる方もいるようです。

 もちろん私もその全てを把握できているとは言えません。

 現在もっともアクセス数の多い此処、現代詩フォーラムは先のサイトと比べれば新しい部類に入るでしょう。また、事あるごとにアクセス数を誇っている文学極道が大手投稿サイトとしては一番新しいのでしょうか。後者については、「芸術としての詩を発表する場、文学極道です。糞みたいなポエムを貼りつけて馴れ合うための場ではありません。」として、他の投稿サイトとの差別化を図っており、確かに作品についてはある程度の質を保っているようです。

 投稿サイトについてこれ以上詳しくは調査しません(個人では無理な作業です)。ただ言えることは、目的を共有する数人のメンバーで作られた投稿サイト(文学極道もこれに当てはまるでしょう)が、現時点においては数えるほどしかなく、その他大多数のネット詩作者は、手っ取り早く作品を公開できるだけの現代詩フォーラムに集まらざるを得ないということです。

 では、そのような有志はどうしたかというと、無目的性の際立つ此処に吸収されるか、同人誌として脱ネット化をし始めているように思われます(ここ2,3年のネット発の同人誌の数を考慮していただきたい)。

「みんな表現してない。体裁を繕っているだけ」(関田英介)

ちょり->あ、それ、もうすこし具体的に言っていただけますか。
投稿者->ああ、多数派というのはキーワードだね、僕にとっては。
関田英介->うん。いとうさんが誰かへのレスで言ってるんだけど、みんな「詩」っぽくしようとしているんだよね。それが多数派の意識というか。
投稿者->そうそう、「詩」が先にありき、みたいな。
関田英介->そうじゃねえだろと(笑)。
投稿者->何で「詩」なの?という疑問が沸く。
関田英介->そうだよね>投稿者
ちょり->本来、テクノとかロックとかポップスがあるはずなのに。それをとにかく「音楽」だと主張しようとする、みたいな。
関田英介->そう。>ちょり
投稿者->うん、音楽好き、だからやるの、みたいな。表現の出発点が希薄なんだよ。
ちょり->そうまでして尊重、というか重要視される「詩」とは、じゃあいったいなにか、というと、どうしても何か空虚なものに思えてくるんですよね。
関田英介->結局、みんな褒められたいだけなんだよ。表現してない。体裁を繕っているだけ。
ちょり->ほんとうに形骸化しているというか。
投稿者->うん。俺なんか詩のサイトうろうろしてるのは「表現」をみたいからなんだよな。
関田英介->右に同じ。
投稿者->でも「詩」が先行して表現じゃないのが多いの。
ちょり->「詩」というのが「体裁」とイコールで結ばれてしまう状況ですよね。
投稿者->からっぽなら無理に作らなくていいよ、と思う。
ちょり->こうすれば詩だ、こういうのが詩だ、っていうのが一人歩きして。
関田英介->そうなんだよね。みんなそれっぽい作品をまだ模倣している段階なんだよ。
ちょり->結局出発地点を見失ってしまって。
投稿者->そうそう。

http://members.at.infoseek.co.jp/city_n/n-dan01.htmより引用


 自戒も含め読み返してしまった第N区に掲載された以上の対談から、すでに5年以上の年月が流れたことになります。ネット詩はどこまで来たのでしょうか? そして投稿サイトは?

 その上で私が提案できることは、いっそのこと現代詩フォーラムは幕を降ろしてはどうだろうか、ということです。そこからはたして何人の投稿者が書き続けられるでしょう? 言いたいこと、伝えたいことがあるのならば、詩などにしなくても誰かに直接言えばいい。あなたの「ひとりごと」を呟きがそのまま詩となるわけではないのだから。もし表現したいイメージがあるのならば、わざわざ言葉を使わなくても絵を描けばいい。そもそも言葉はイメージを表現するのに向いていないのだから。

 あなたが無理をして詩を書く必要はない。別の表現手段などいくらでもある。体裁をつくろうだけの言葉は、いらない。
現代詩フォーラムを潰すことは、そのことを気づかせる良い契機になるはずです。


注:この提案は、もちろんもうひとつの大手投稿サイトである文学極道を擁護するものではありません。文学極道の面々も、ブローディガンやツェランのごとく、たった一人になったとしても書き続けられる者がどれほどいるでしょう? (良くも悪くもアカデミックな)紙媒体の詩的・詩学的レベルに恥をかく前に、とっととその大口を閉じるべきではないでしょうか? まあ、数百の読者のうち、たった一人に驚嘆を与えるような詩など、それがスイーツ(笑)のような凡百を嗜好する彼らには書きようもないのですけど。



参考サイト一覧(以下順不同)

Poenique:http://poenique.jp/
日本WEB詩人会:http://www.poet.jp/
脳ミソ気球団:http://www.no-miso.com/heaven/index.html
うおのめ倶楽部:http://uonome.omega-zz.com/
千年王国:http://birdman.serio.jp/1000.htm
詩人ギルド:http://www.interq.or.jp/red/kota/poetguild.html(閉鎖中?)
ark:サーバが見つかりませんでした
Verse-Verge: ページが見つかりません
Poetic Free:ページが見つかりません
くぐもり:http://www.fides.dti.ne.jp/~s-sen/(閉鎖)
詩遊会:http://si-you-kai.com/
みんなの詩(ポエム):http://www.gonta-poem.com/
poecs:http://poecs.net/
ことばcan:http://www.kotobacan.com/
投稿詩共和国:http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=salooon24
月刊未詳24:http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=heart_throb_exp
文学極道:http://bungoku.jp/
第N区:http://members.at.infoseek.co.jp/city_n/


散文(批評随筆小説等) 批評祭参加作品■詩投稿サイトについて Copyright 2TO 2008-01-24 20:15:01
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