胡瓜5本
あおば



              071220



温泉への軌道は
いつも霧の中
時刻が定まらない

にがうりを踏みつぶし
薄汚れた地点から
今日が始まり
一張羅の印半纏ビラビラと
人車がのそりやって来る

遊山のお客は、ほうと一息
山の気配に吸い込まれ
すぐに見えなくなった

お愛想は
胡瓜5本に忠則様よと
下りの車夫は身が軽い
勢いを付け
ひらり
鋼鉄色に跳び乗った



自由詩 胡瓜5本 Copyright あおば 2007-12-20 18:28:02
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