優等生の予防線
猫のひたい撫でるたま子
私は優等生。顔が
お金を貰える職場では最初下手でもだいたい優等生になれる。
優等生顔と、優等生スイッチを持ってるから。
今日も社長と2人きりの朝の会議。冬の日差し暖かく、路面の我が社はあ、眠い。社長も瞼をこすりながらぼんやり話している。次の企画についてだ。
次の企画はかなり素敵。社長とは何はなくとも小説の会話が盛り上がる。貸しっこした小説たちは、きっとお互い読んでないけど、それもまた良い。
この欠落した感じの会社が私にはしっくりきはじめているのかも。
最近成績が好く、ExcelやACCESSを嗜んできたため社長はご機嫌。
だったのだが・・・
次の詩集の挿し絵の画像処理を任され、頭を使わず感覚でやっていい仕事にウツツを抜かしていたその時に事件は起こった。
会社のパソコンにメールがきた。
「昨日は朝までどうも!飲みすぎていたね」ってやつ。
はー!!
「高野さん宛てのメールが来ているよ」と冷たくなった社長。
私は昨日お腹を痛めて、サービス残業を断り、珍しく定時に帰ったハズですけど?
・・・
頭フル回転、メールに私の名前が記載されていないことを確認、「私は昨日名刺ケースを忘れて帰ったのですが、ね?(なんだろうね?)」
「ああ、じゃあただの迷惑メールかな?それにしても随時手が込んでるんだね。そういえば高野さんはあんまり朝まで飲んだりしない人だもんね。(あんま友達いないでしょ?)」
そうそう。
良かった。
今までプリンターで出力し、自ら苦手なカッターと定規を使い作っていた名刺から最近卒業した私。
切られている名刺がたまらなく、愛しかった。
でも、酔っ払って名刺を誰かに渡すのはもうやめよう。やめよう。
落とし穴、辛うじてスキップ!クリア!
機嫌を取り戻した社長は、自分ちで入れてきた水出し珈琲を出してくれた。何だか美味しいチョコレートもくれた。私のためにとっておいてくれたそうな。
昼ご飯には卵焼きを作ってくれた。
毎日頑張ってるね、今日の帽子は似合うね、と誉めてくれる。
出荷の本は、腰を壊すし、重いからやらなくていいよと言ってくれる。
高野さん家は玄米食なんだ、毎日おにぎりを持ってきて偉いね。健康が一番だよね。
ん?
思いやり?これって、付き合いはじめて一年目のカップル?
私、社長と結婚するの?
―社長、お味噌汁は私が作りますよ。―
社長ー!バーチャルを楽しまないで、早く結婚してください。
今日も1日お疲れ様でした。