「マイナスの場所から/寺西幹仁」『泣きじゃくり部屋』より
とうどうせいら

2007年10月10日ごろ、日本で一番古い詩の出版社、詩学社という小さな会社が廃業しました。1947年8月「詩学」創刊ということで、経営が思わしくない時は休刊などでつなぎながら、60年に渡り「詩学」という月刊誌を発行してきました。

最後の編集長になった寺西幹仁さんは、「詩マーケット」という詩集専門即売会を、日本で初めて開催されたさきがけのかただったそうです。
寺西さんのサイトには、「詩マーケット」をしていたころの論考が残っていて、それを読んでいると、詩学社のこととかぶってきました。

わたしは、今回詩学社の在庫処分市?のお手伝いをしている内に、人に教えていただき、初めて読みました。

詩学のことを知らない人にも、読める文章だと思うので、こんなに熱い思いを詩に託す人がいたことを、ぜひ読んでもらいたいなーと思いました。
もしお時間がなければ、3番と4番だけでもいいので読んでください。

マイナスの場所から(寺西幹仁)初出:『新日本文学』2001.6月
http://teranishimikihiro.hp.infoseek.co.jp/ronkou/minus/minus.htm
何故やるのかと言えば、捨石覚悟、であった。現状、詩の置き場所はほとんど無く、減少するばかりである。そんな状況だからこそ、座して考えるより、どんなバカなことでも、とりあえずやってみる価値がある。もし、ダメでも、やらなかった時より、悪い状況にはならないはずだ。それに失敗しても、必死にやれば、誰かに何かが伝わるかもしれない。もちろん、誰にも何も伝わらないかもしれないが、やらなければ最初から伝わる可能性は0である。やれば、可能性は限りなく0に近いが、0では決して無い。ただ、打ち合わせをやりながら、かなり悲愴な気分になることもあった。詩のフリーマーケットなんて、一体誰が参加するのだ。そして、誰が客として来るのだ。全然数が読めない。頭のいい人間は絶対やらないだろうなあ、と思った。実際、頭の良い方から、そんなの無理だよ、やっても何にもならないよ、とアドバイスを受けたこともある。しかし、私はバカなのだろう。やろうと思った。頭の良い人は、成功の確率がある一定以上無ければ行動しない(そう、それは賢明だ)が、バカは成功の確率が0でなければ、やってしまうのだ。しかし、そういうバカが、時として何かを動かすこともあるのだ(たぶん)。


わたしは、寺西氏と直接面識がありません。
なので詳細は知りませんが、詩学社の経営は住居兼事務所の家賃が払えなくなるぎりぎりまで続けられた……ということです。

泣きじゃくり部屋TOP
http://teranishimikihiro.hp.infoseek.co.jp/index.htm

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ほんとは、もっといっぱいレビューを書いたんだけど、落ち着いてアップできず気がついたら自分の書いた文章全部消しちゃいました。
リンクは見てもらいたいので、貼ってしまいます。

あと、わたしに「詩学」っていうほんの存在と、その歴史やなりたちがわかるように記事をアップしてくれたいろんな人達、こうして編集長と知り合いでもない、地方の一個人であるわたしがその人の生きざまについて触れられる、インターネットっていう文化にかんしゃします。

ありがとう。

関連資料:(詩学をご存知ないかたへ)
詩学社
http://www7.ocn.ne.jp/~shigaku/
『詩学』の紹介ページ 
http://www.fujisan.co.jp/Product/1079/



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