形見
本木はじめ

沈んでゆく亡き王女のためのパヴァ−ヌにさみしい初夏の夕ぐれ
ピアノは巨大にリビングしているけど
きみのいないみぎてもいないし
きみのいないくすりゆびもいない
どうしようもない僕はしっとりと
ピアノにほほをつけるとつめたい
黒鍵に指を置いてゆっくりと沈めるとからすたちが鳴きだす
今夜こそ
捨てよう
君の
銀歯


自由詩 形見 Copyright 本木はじめ 2004-06-14 02:40:48
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