ねぇ

あぁ

なんでもない

ホント　なんでもないんだ

やましいことは　なにもない

そういうことじゃないんだ

でも　聴かないほうが良いよ

聴かないほうが良いと思うよ　ぜったい

絶対に


いま　とっても　恐い話　思いついてしまったんだ

どうしょうもなく恐いこと　思いついてしまったんだ

ねぇ　君は　恐い話とか　ホラー映画みたいなの

苦手だって　言ってたじゃない


　お化け屋敷を外から見ても　怖がっちゃうぐらいだし

　話さないほうが良いよ

　僕も恐い話は苦手だし

　喋りながらも　恐い気持ちになってしまうし

　今夜眠れなくなってしまうと　明日の仕事に

　差し支えるし　リズム崩れるし

　デメリットばかりさ


ああ　嗚呼　あぁ


芋づる式に恐いハナシ　思いだしてしまった

稲川淳二の怪談とか　恐い経験

世にも奇妙な物語や　心霊写真とか

その類のいろんなハナシ　次から次へと


　今夜きっと　独りじゃ眠れないし

　今夜なんとなく　なにか起こりそうだし

　君も　ひとりにさせておけないし　


君の隣で眠りたいとか　そういうんじゃなくて

やっぱり　さっき思いついたこと話してみようか

君も僕と同じように怖い思いしたいかな

聴かないほうが良かったと　たぶん思うし

聴いてしまえば僕のこと恨んだりすると思う


　でも　怖がって　眠れなくなって

　僕に　甘えてきても良いし

　たいていのことは頼りになるはず　除霊も出来るし

　怪奇現象も科学的に説明したりできるし


ねぇ

ちょっと聴いてみたくなってない

「怖いモノ見たさ」みたいなこと

君の好奇心旺盛なとこ　じつは大好きなポイントだったりするんだよ


　ロウソク立てて　暗い部屋で

　怖いハナシ聴いてみないか

　今夜は満月　でも　僕は　狼男になったりしないよ

　もちろん吸血鬼でもないし　君の血は美味しそうだけど



僕が一番怖いこと　君に嫌われてしまうことだ

僕が一番恐いこと　君に嫌がられてしまうことだ