てのひらの少年
あおば

              071105



水色の流れの中を走るのは
走る顔をした顔をした顔は
風の滴る汗も気にしない顔
夕焼けの冷汗三斗を量る顔
物部守屋の乱暴狼藉を語い
五街道の版図を照らす鉄路
カンテラを吊した狭い隧道
モハ51のヘッドライトと
MT15の重々しい唸り声
ガバッと跳ね起きてからの
瞑想がイメージを重複化し
重ねては手のひらで切断し
紙吹雪の散る寒い冬を占う

手のひらから下方に向かい
踵の方に向かう細い神経束
停滞する偽情報を捕まえて
焦眉の灸を据え自白を促す
ガバッと跳ね起きる日々の
水色の流れの中を走るのは
赤い半長靴にジェットヘル
緑の岡に飛行船の影を導く


自由詩 てのひらの少年 Copyright あおば 2007-11-07 23:41:56
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