エビちゃんに変身
佐野権太

俺、ザムザ
丸くなって寝ていたら
海老になっていた
エビちゃんになってしまったから
もう
仕事には行かなくていいのだ
底に沈んで
苔の類をついばんでいればいーのだ

下半身をゆるゆるとほどいてみる
脇腹から突き出た中脚が
うまく作動しないが
たいした問題ではない
触角を立ててみる
鼻先で探る要領だ
キャビアみたいなちっこい目で
辺りをうかがう

玄関先から寝床に至るまで
いくつもの脱け殻が並んでいる
ヒトからエビへの進化の過程だ
複雑な感情をつぎつぎと脱ぎ捨て
ついに
あらゆる煩悩から解放されたのだ
生への執着すらない完全体
思考は常にベリーシンプルな二者択一
気に入らなければ跳ねればいい
ファッキン

細い透明な指先で詩をつづる
セーイ、セイセイ
後退しながら詩をつづる
セーイ、セイセイ
ザムザ!
ファッキン
ファッキンマム!

ジーザス!







自由詩 エビちゃんに変身 Copyright 佐野権太 2007-10-25 08:55:41縦
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