少女たちと海について
アオゾラ誤爆

いらないものがおおすぎるんだ
ねえ私たちは


両手でそらをはかろうとする
出来ないよ
できないよできないよ
わかってるのに希望をすてない
あしをとられて倒れこむ
砂地
じんわり自分をしみこませて
満足する
満足したふりをする
あ、あ、あ、
声はまだ出るか
あ、
もうだめかな
何度もためす
テトラポッドをカメラに収めれば
もう二度と海にこなくても
生きれるような気がするけれど

あ、あ、あ、
嘘をついた
太陽は嘘をついた
私たちは嘘をついた
私たちは
うそを


疲れた
しゃべる言葉たちが
汗をかいているようにみえて
思わず目をこすった
たぶん錯覚
乾いて
肌は適応する
潮風に撫でられて
しだいに敏感さをなくす

あ、あ、あ
声はまだ出るか
いつか出なくなるのかな
ぶれていく話題
三半規管
って
たぶんこのへんだよね
細い髪にくすぐられる
小指
どこかに捨ててあった花火と
どこから来たのか野良犬が
ちょうどいい
ね、こういうとき、映画だ
私たち、映画のなかだ

無邪気に
ひざまでぬれて
スカートを両手でおさえて
息が白い
冬の星
もうみえない
はじめから知らない
だって
夕方すらまだ遠い

あ、あ、あ、

嗚呼
ねえ生きている?
確かめるまでもなく
すべてのものがリアルで
逆に偽物みたいだった
笑える
わらえてしまう
あ、あ、あ
大事なものがおおすぎるんだ
ひとつこぼすと
死にたくなるから
無重力を味わって
息をしている
好きなんだ好きなんだ好きなんだ


絶望
その次に浮かれて
ざらつく循環にさらされている
錆びたり腐ったりするまでに
なにができるのかな
たまにかなしくなるんだ
どうしようもない
美しさに
消えてしまいたくなるんだ
ね、くだらない、感傷で
傷だらけの足首を
つかむ遊び
あ、あ、あー 
糸電話よりも危うい
みえない線があるのかな
ほんとうに
あーーー
聞こえますか
きっと殴りとばすよ
都会の喧騒もなにもかも
追い抜いてこの声は
飛べ
おねがい
とんでほしい
あ、あ、あ
すきといって


きらいなものがおおすぎるんだ
私たちには
ねえこたえて
知っていること全部全部
おしえてよ
わがままに
流れている時間も
とめて
はねるしずく
短く切った髪にひかる
シャッター
シャッターシャッターシャッター
あ、あ、あ
あ、鳥
シャッター
あの鳥たちはどこへ行くかな
私たちの
しっている国だろうか
川もビルもない場所を
見たことがあるんだろうか
私たちはないよ
もうずっと
与えられた世界のかけらを
片っ端から疑うことだけ
しているから
愛しいんだ

あ、あ、あ

うみだ

ねえ


うみだ




うみだよ





自由詩 少女たちと海について Copyright アオゾラ誤爆 2007-10-14 10:15:23縦
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