おひとりさま
ふぁんバーバー

ひとりで
回転寿司に行きますと
何周もしている
モンゴイカにふと
周回遅れのじぶんじしんを重ねて
真向かいの
ホスト風の男が
うにいくらと注文しているのを
同じ色の皿ばかり積む私は
つい東京へ行った弟のことを思い出し
今日はあの子のお誕生日だった
おなかを空かしているんじゃないだろうか
三百グラムのハンバーグステーキを
おごってあげたい
なんて
ひとりっこだけど私は
気持ちのない人とつきあってはいけないと
きのう中学生の恋愛相談で
ラジオが言っていたよ
ほんとうにそうだなあとしみじみしたけれど
ほんとうにそうなのだろうかと疑ってもみる
だんだん好きになるかもしれない
でもだんだん好きになった食べ物があるだろうか
あら汁のなかで魚の目がしろい
なぜか舌がピリピリする
なんかの雑誌で読んだぞ
やばい記事だった
思い出さないことにする
おひとりさまは席を立つタイミングがむずかしい
だれも気にしないのにむずかしい
でも考えてみれば
誰だって人生のおひとりさまじゃないか
じゃじゃ馬にさえなれない
生まれ変わったらきっとモンゴイカだと思う
海の底で泳いでいたかったのに
なんの因果か
ホストと私の目の前を
じゅんぐりに回っているのだ
ずるいねわたし
こたえがでないよ
もっといいお店に連れて行ってくれるだろうか
でもそれがわたしののぞみなんだろうか
兄妹だったらきっとうまく行ったと思う
九皿お味噌汁で千四百円
ご飯を炊いて出かけてきたのに
気楽なものだね
おひとりさまは











自由詩 おひとりさま Copyright ふぁんバーバー 2007-10-08 18:22:12
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