缶詰のさくらんぼを食べて
その種を庭に植える私を
君が笑った
「その種は芽を出さないよ」
そう言って笑った

正しいことが好きな君は
合理主義を重んじる君は
いつだってそんなつまらないことを言う

ささやかな報復に
私は毎日水をやった
芽は出ない
それでも別に構わない
馬鹿にした目で
憐れんだ目で
君に見られる筋合いもない

私は別に
おなか一杯さくらんぼを食べたいと
思ったわけではないのだから

正しいことが好きな君は
合理主義を重んじる君は
そんな簡単なことすら
わかってくれやしないのだ